救急科
患者さんへのメッセージ
副院長・救命救急センター長
北川 喜己
救急科では救急患者さんの初期診療と救急処置を行い、場合によって必要な専門治療が受けられるように専門医へ引き継ぐまでを担当しています。診療の対象となるのは小さなお子様からご年配の方まで、内科系疾患から外科系疾患、交通事故や労災事故などの外傷まで全ての診療科の患者さんが対象です。救急科が中心となって運営する救命救急センターは24時間365日救急患者さんを受け入れています。
救命救急センターには重篤な疾患を抱えているのにまだ表面化していない患者さんがみえることもあります。歩いて来院したからといって軽症とは限らなく実は心筋梗塞であるとか脳卒中であったというケースもある一方で、救急搬送されてきても軽傷であるケースもあります。そのため患者さんの状態や検査データをもとにして一から診断をつけ緊急度や重傷度を考慮しつつ治療をする必要があるのです。
学生さん・研修医諸君へのメッセージ
例えば開業医の先生から「心筋梗塞の患者さん」を紹介されて当院でお預かりする場合などは、初めから循環器科の先生と連携して筋梗塞の治療を始めることができます。ですが初診で救急において受け入れる救急患者さんはそうはいきません。救急の現場では患者さんの情報が圧倒的に少ない状態から始まるのです。救急車で運ばれてきた胸の苦しみを訴えている患者さんに対し、何の病気か、どんな治療が必要かを的確かつ迅速に判断する能力が救急で働く医師には求められます。そのため当院の救急科では「若手の医師に救急のいろはを教えることで、将来どんな専門医になっても、その根底の部分で救急医療を理解し実践できる医師を育てたい」という強い思いから研修医を育てることに力を入れています。
私たちが若い研修医に与える課題は5つです。①重症患者に対する初期対応能力、②救急診療に必要な治療や検査・手技、③プライマリケア(疾病の初期治療)、④重症化を未然に防ぐ判断能力(ありふれた症状で受診する患者さんの隠れた疾患を見落とさないこと)、⑤不安を抱えて来院する患者に対する心理面のサポートです。④⑤は繋がっており医師にとってもっとも大事な能力です。軽症患者の中から、例えば胸の痛みを訴えない心筋梗塞、風邪の症状で来院したくも膜下出血など重症患者を見つけられる眼を持った医師を育て、救急患者さんに必要な医療を届けたいというのが救急科の願いです。
チカラを合せてチーム医療
救命救急センターでは医師・看護師・診療放射線技師・臨床検査技師・救命士・事務員など多くの職種が連携して常にチーム医療が行われています。救急患者さんの受け入れから診断、初期治療、そして専門科への引き継ぎまでをスムーズに行うために救急科の医師がまとめ役となりそれぞれがチカラを出し合っています。
また当院では大きな災害が起こった時に派遣される医師、看護師、業務調整員で構成された「DMAT(災害派遣医療チーム)」が組織されています。DMATの活動で院外に出る医師は救急科が中心となりますが、病院に残って医療活動をしている後方支援のメンバーもたくさんおり、ここでも「病院全体でチームを送り出している」というイメージを持っています。東日本大震災の際にも当院のDMATチームは被災地や羽田空港(SCU)に出動しています。
医療関係者へのメッセージ
当院の救命救急センターは1990年から「ER型救急」と呼ばれるERに救急の専従医を配置するスタイルで運営しています。当院の救急科の強みは、なんといっても優秀なER医がたくさん在籍していることだと思います。救命救急センターを持っている病院でも専従のER医は数人でやっているところが多いですが、当院のようにER医が10人規模でいるところは全国的にも少ないと思います。そのため当院ではプライマリケアに優れたER医による質の高い医療が提供できるうえ、軽症から重症まで様々な疾患の患者さんが集まるため、救命救急センターは救急科指導医のもとでグローバルスタンダードの治療法を勉強できるプライマリ研修の絶好の場で、後進のER医を育成できる環境が整っています。
当院であらゆる経験を重ねたER医が育ってくれたら、ゆくゆくは当院を巣立っていき他の病院で救急医療を実践してほしいと思っています。私は「のれん分け」という表現をしますが、少しずつ仲間を増やし活躍する輪を広げ、全体的な救急医療のレベルをあげていきたいと願っています。
医師の紹介
職名 | 氏名 | 資格取得年 | 資 格 名 |
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副院長 ・ 救命救急 センター長 |
北川 喜己 | 1983年 | 日本救急医学会専門医・指導医 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器病学会専門医・指導医 日本外傷学会外傷専門医 麻酔科標榜医 ICD制度協議会認定医 日本Acute Care Surgery認定外科医 社会医学系指導医および専門医 AHA BLS/ACLS TC ファカルティ 米国外科学会ATOMインストラクター 日本DMATインストラクター 臨床研修指導医 |
医長 | 後藤 縁 | 2008年 | 日本内科学会認定医 日本救急医学会専門医 日本救急医学会指導医 日本集中治療医学会専門医 臨床研修指導医 |
山田 真生 | 2012年 | 日本救急医学会専門医 | |
医員 | 萩原 康友 | 2013年 | 日本救急医学会救急科専門医 日本外科学会外科専門医 日本救急医学会認定ICLS コースディレクター 日本救急医学会認定BLS インストラクター アメリカ外科学会ATOM プロバイダー 臨床研修指導医 統括DMAT |
森岡 慎也 | 2013年 | 日本内科学会認定内科医 日本救急医学会専門医 |
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栁内 愛 | 2014年 | 日本救急医学会救急科専門医 | |
小川 健一朗 | 2015年 | 日本内科学会認定内科医 日本救急医学会認定ICLS・BLSコースインストラクター 脳血栓回収療法実施医 日本救急医学会救急科専門医 臨床研修指導医 |
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蜂矢 康二 | 2015年 | 臨床研修指導医 | |
須網 和也 | 2016年 | ||
医師 | 秦 豪宏 | 2018年 | |
府川 心壱朗 | 2018年 | ||
水谷 裕之 | 2018年 | ||
中島 隆秀 | 2018年 | ||
左近 真之 | 2018年 | ||
纐纈 美帆 | 2019年 | ||
林 清文 | 2019年 | ||
水谷 真也 | 2019年 | ||
松浦 一義 | 2019年 | ||
河合 康亮 | 2020年 | ||
医務嘱託 | 髙木 省治 | 1993年 | 麻酔科標榜医 日本救急医学会専門医 社会医学系専門医・指導医 緩和ケア研修会修了 日本DMATインストラクター 臨床研修指導医 |
船曵 知弘 | 1997年 | ||
大原 靖仁 | 2003年 | 日本内科学会認定医 日本内科学会総合内科専門医 日本消化器病学会認定消化器病専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 |
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奥村 将年 | 2008年 | ||
島 惇 | 2013年 |
医療活動に関する実績