愛知県がん診療拠点病院
「愛知県がん診療拠点病院」とは
がん医療の均てん化(全国どこでも均一な医療を受けられる体制をつくること)の推進と適切ながん医療体制の整備をすることを目的とした機関として、厚生労働大臣指定のがん診療連携拠点病院があります。愛知県では自治体レベルでさらにがん治療の充実を図るべく、がん診療連携拠点病院と同等の機能を有する「愛知県がん診療拠点病院」を創設しています。
当院は「愛知県がん診療拠点病院」に指定されております。
地域のかかりつけ医や連携関係にある病院と相互に協力し地域の皆様へ高度ながん治療を提供すると共に、地域のがん治療水準の向上を目指しております。
主な指定要件
- がんに対する集学的治療等の提供及び標準的治療等の提供
- 手術療法・放射線治療・化学療法の提供
- 緩和ケアチームによる緩和ケア医療の提供
- 専門的な知識及び技能を有する医師と医師以外の診療従事者の配置
- 標準登録様式による院内がん登録の実施
- 厚労省が定めるプログラムに準拠した緩和ケア研修会の開催
- がん相談支援センターの設置
- PDCAサイクルの確保
指定期間
2024年4月1日から2027年3月31日まで
当院で提供可能な診療
がん治療関連部門
緩和ケア内科
緩和ケア内科ではがんの患者さんに対して投薬による痛みのコントロールなど患者さんの身体的・精神的なつらさを和らげる医療を行っています。自宅で療養される方の支援やリハビリテーションも行っております。
緩和ケア病棟
緩和ケア病棟は病院のイメージとはほど遠い、家庭的な空間です。痛みをコントロールしながら、音楽や絵画・食事など「人としてあたりまえに楽しむことが出来る」生活をサポートします。
緩和ケアチーム
緩和ケアチームは、緩和ケアを専門とする医師・看護師・薬剤師などがチームとなって、がん患者さんとそのご家族の支援をします。
化学療法センター
化学療法センターでは抗がん剤を用いた薬物治療を行っております。近年では管理技術が進歩したことにより外来でも薬物治療が可能になってきています。
放射線科
がん患者さんの診察・放射線治療計画の作成、リニアック照射装置という医療機器を使って高エネルギーの放射線を体外より照射してがんの治療を行っています。
セカンドオピニオン外来
患者さんがご自分の検査や治療について、他の医療機関の医師の意見を聞いてみたいというご希望がおありの場合は、そのご希望に沿うよう、セカンドオピニオン外来を受付ます。
がん相談支援室
がんの患者さんやご家族の方の悩みや不安、疑問などの相談をお受けします。
がんの経験をもった患者さん同士が交流できるイベントも開催しております。
医療相談室
各種ご相談を承っております。治療を続ける上で困ったこと悩んだことについてスタッフが耳を傾け、専門家の知識を活かし一緒に解決方法を考えてまいります。
病歴管理課
診療録・病歴情報の管理・医療情報の収集・分析・提供と利用支援が主たる業務です。 都道府県推薦病院として2011年症例より国立がん研究センターが実施する全国集計へのデータ提出を行っています。
その他の体制
希少がんの診療
希少がんとは2015年の厚生労働省の検討会によって、人口10万人あたりの年間発生率(罹患率)が6例未満のもの、数が少ないがゆえに診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きいものと定められました。200種類近い悪性腫瘍が希少がんに分類されており、全てを合わせるとがん全体の2割程度を占めます。一般に希少がんは、頻度が高いがんに比べ臨床情報や臨床試験が少なく、標準治療の確立やガイドラインの作成が難しい現状があります。
当院では、肉腫や原発不明がんなどの多くの希少がんの診療を行っております。がん種や進行度に応じて、手術、薬物治療、放射線治療を行っております。また、他機関と連携を図り対応をしております。
受診をしていただき、主治医と相談をしながら治療を進めてください。ご希望に応じて、他機関へのご紹介もさせていただきます。
小児がんの診療
0歳から14歳までの小児期に発生するがんを「小児がん」と言い、白血病、脳腫瘍、悪性リンパ腫をはじめとして、からだの様々な部分から発生する腫瘍が含まれます。当院では小児がんを疑う場合、治療可能な病院と早期に連携を取ります。
その上で、速やかな診断のため血液検査や骨髄検査、尿検査のほか、エコー、CT、MRI、核医学検査などの画像検査を実施しています。入院中は様々な検査が行われるため、お子さんに安心して検査を受けていただけるように、事前に年齢に応じた方法で説明を行っています。また、遊びを通してお子さんを見守りご家族をサポートできるよう、病棟保育士がお手伝いします。当院での検査後に、連携病院で迅速に治療を受けていただけるよう診療を行っています。
AYA世代の診療と妊孕性温存
近年、がん治療の進歩に伴って、一部のがん患者さんはがんを克服することが可能になってきました。一方、一部のがん患者さんにおいては、がん治療による性腺(卵巣や精巣)の機能不全によって妊孕性の喪失(将来こどもを授かることができなくなる可能性)が惹起されることがあります。がん治療医は、小児、思春期・若年(AYA: adolescent and young adult)世代のがん患者さんやその家族に対して、がん治療による妊孕性喪失の可能性や、将来の選択肢を残すための妊孕性温存に関する情報を説明することが重要です。また、主治医であるがん治療医と生殖医療専門医の連携のみならず、看護師、薬剤師、カウンセラーなどの多職種間の連携も大切です。こういったがん・生殖医療を円滑にすすめるために、地域医療を支える病院間でのネットワークが形成されており、当院も愛知県がん・生殖医療ネットワーク(SOFIA)に参加しております。ご不明な点があれば、一度主治医の先生にご相談ください。
がんゲノム医療と遺伝カウンセリング
がんゲノム医療を各診療科で進めております。その治療と遺伝に関するご相談も 遺伝カウンセリング外来にて承っておりますのでご希望がございましたら主治医にご相談下さい。
難治性がん性疼痛に対する神経ブロックについて
がん性疼痛の治療は、がん患者のQOL向上に欠かせない課題の一つです。現在のがん性疼痛治療の第一選択は、薬物療法になります。しかし、数%の患者の疼痛は、薬物療法だけでは解決しません。その場合に検討される治療法として神経ブロックがあります。同治療が必要な場合には下記の連携医療機関へ速やかに紹介しております。 また令和5年4月以降は当院でも対応できるように体制になる予定です。
●連携医療機関名 名古屋大学医学部附属病院 麻酔科
緩和的放射線治療
放射線治療は外科療法や薬物療法などと並ぶがん治療の柱の一つです。
当院では放射線科にて専門医が治療を担当しています。
主に3つの治療方法があり、がんの種類、進行度、全身の状態、希望などによって、他の治療との併用あるいは放射線治療単独で治療を行います。
①根治的治療(がんの根治を目指す治療)
②緩和的治療 (痛みや苦しみをやわらげる事を目標とした治療)
③術後治療 (手術後に再発予防を目的として行う治療)など幅広い適応があります。
この中でも②の緩和的放射線治療に関しても、当院の放射線科で他の診療科・部門や近隣の医療機関と協力・連携し、患者さんにとってよりより医療が提供できるよう努めております。
その他の実績
PDCAサイクルの取り組み
PDCAサイクルとはplan(改善行動計画の立案)、do(改善行動計画の実行)、check(実行具合の確認と効果の評価)、act(改善の達成や次なる計画の立案)を繰り返すことで業務を円滑に進めていく手法のひとつです。 当院は、これに沿って患者様の医療の質と安全を組織的に改善していく体制を整えております。
緩和ケア研修会
がん診療に携わる全ての医師は緩和ケアの基本的知識の習得を求められています。 本研修会は「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に基づき開催され、全課程修了者には厚生労働省から修了証書が交付されます。