消化器外科
主な症状・病名
副院長 加藤 祐一郎
当科では消化器悪性腫瘍の治療(食道がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、膵がん、肝臓がん、転移性肝腫瘍)、消化器の良性腫瘍(GIST、カルチノイド、腺腫、神経内分泌腫瘍など)、胆石症、総胆管結石、内痔核/外痔核、痔ろうなどの消化器の良性疾患の治療、大腸憩室炎、急性虫垂炎、腸閉塞などの急性腹症、腹部外傷の外科治療に力を入れております。
患者さんへのメッセージ
画一的な手術ではなく、患者様ひとりひとりの状態に最適な手術法を選択するように心掛けております。特に消化器がんの治療に対しては、患者様ひとりひとりにあわせたテーラーメイド治療(個別化治療)を目指しております。悪性疾患の治療に対しては進行したがん患者様には進行の程度に合わせた適正な手術、また、各診療科の協力の下で拡大手術/化学療法/放射線治療を組み合わせた集学的治療を行っております。一方、早期のがんや一部の進行したがん患者様には各種臓器の機能温存をめざした低侵襲な治療(縮小手術、鏡視下手術など)を行っております。
各種疾患に腹腔鏡手術も積極的に取り入れております。この手術はお腹にカメラを挿入し、テレビモニターを見ながら手術を行うのですが、大きな傷をつける必要がないため、患者様の負担や痛みが軽減されるとともに術後の回復が早く、患者様の多くのメリットがあります。この腹腔鏡手術は胃がん、大腸がん、消化管の良性腫瘍、胆石症、鼠径ヘルニア、急性虫垂炎、副腎腫瘍、脾臓腫瘍などで行っています。
また、2019年1月からは胃癌と直腸癌に対して、最新の医療機器であるダヴィンチを用いたロボット支援下手術も開始しました。腹腔鏡と同じく8-12mm程度の小さな傷を5カ所ほどつけるだけですので、従来通りのお腹を開ける開腹手術にくらべて、術後の痛みがかなり少なく、術後の回復も早いです。またロボット手術の特徴は、①狭い空間でも、鉗子の先を自由に曲げることができるため、より安全に正確に手術可能であること、②ロボットが自動で手振れ補正をしてくれるため、細かく精細な作業をすることができます。こうした特徴によってより安全にかつ癌をとりのこさない手術が可能となっています。
おわりに、患者様がご自身の病気や治療のことをしっかりと理解したうえで安心して治療を受けて頂くために患者様との対話を大切にしております。病気や治療のことでさらに詳しいことがお知りになりたい場合は、ご遠慮なくご相談ください。そして、病気に打ち勝つには、患者様とわれわれ医療スタッフが一丸となって病気に立ち向かっていくことが必要不可欠です。必要な時にはわれわれ医療スタッフが患者様の手となり足となり支えます。ぜひ我々とともに病気に打ち勝ちましょう。
チカラを合せてチーム医療
当院は各診療科間・各職種間のチームワークが非常によいことが特徴であり、消化器疾患(悪性腫瘍/良性腫瘍/炎症性疾患)、急性腹症の診断/治療には消化器内科・外科・消化器外科・救急科と連携して診療にあたっています。特に消化器疾患の治療方針決定には、これらの診療科の医師が参加するカンファレンスにて話し合われます。また当院は他の合併疾患(虚血性心疾患、慢性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病など)を併存している場合でも、経験豊富な心臓外科、循環器科、呼吸器科、糖尿病・内分泌内科、腎臓内科、麻酔科のスタッフがそろっており、安心安全な治療が受けられる体制が整っております。当院のモットーであるえきさい(導き、たすける)の精神に基づき、入院・外来の患者様一人一人の求めるものにこたえられるように医師・看護師を中心としたコメディカルスタッフ一丸となり診療にあたっております。
医療関係者へのメッセージ
当科では日本外科学会指導医/専門医、日本消化器外科学会指導医/専門医、日本肝胆膵外科学会高度技能指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本食道学会食道科認定医、日本胆道学会認定指導医の各種専門医資格を有した消化器外科のエキスパートの指導のもと、安心かつ安全な手術を心掛け、各種消化器疾患に対する標準手術だけではなく、専門的知識・技術が必要な低侵襲手術から拡大手術も行っております。当科の2019 年の年間総手術症例数は1019 件であり、そのうち709例(約70%)が消化器外科の症例です。代表的な手術としては胃切除51例、結腸直腸切除126 例、肝切除13例、膵切除19例、胆のう摘出術149例、虫垂炎・腹膜炎手術112例、腸閉塞手術41例、人工肛門造設術10例、痔核・痔ろう手術16例と名古屋市内の病院の中でも有数の症例数を誇ります。
最近では、患者様への負担が少なく、回復の早い腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術にも力を入れております。2019年の腹腔鏡下手術総数は317例(消化器外科手術の44.7%)、ロボット支援下手術は28例(胃癌直腸癌手術の29.2%)になります。腹腔鏡下手術とロボット支援下手術の合計は345例であり、消化器外科手術の約50%を占めています。もちろん根治性が失われてはいけませんので、各種疾患のガイドラインにそって適正な疾患・病変を対象に保険収載されている手術のみを安全に行っております。
2016年10月以降は日本内視鏡外科技術認定医の指導のもと腹腔鏡下肝切除、膵切除も導入しており、2019年末までに合計33件施行していますが、大きな合併症もなく、もちろん手術関連死亡もありません。。
また、各種手術に対するクリニカルパスや地域医療連携パス、外来化学療法センター、緩和病棟、がん相談支援センター、セカンドオピニオン外来などがん治療に関わる多くの環境も充実しております。それとともに近隣の病院・診療所・福祉施設の方々のご協力のもと、非常に良好かつ堅固な連携体制を築いておりますので、急性期治療を終えた後にも療養が必要な患者様に対しても万全の体制が整っております。
急性腹症、腹部外傷など緊急手術が必要と予想される患者様はもちろん、少しでも消化器疾患の疑わしい患者様は24時間体制で受け入れておりますので、お気軽にご紹介いただけると幸いです。
医師の紹介
職名 |
氏名 |
卒年 |
資 格 名 |
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副院長 |
加藤 祐一郎 |
1997年 |
日本外科学会専門医 日本外科学会指導医 日本消化器外科学会専門医 日本消化器外科学会指導医 日本肝胆膵外科高度技能指導医 日本内視鏡学外科学会技術認定医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構認定医 日本胆道学会認定指導医 臨床研修指導医 ダヴィンチサージカルシステム術者資格 |