医療の質可視化プロジェクト
厚生労働省補助事業 医療の質向上のための体制整備事業
医療の質可視化プロジェクト
我が国の全病院を対象に、指標を活用して医療の質を可視化するプロジェクトです。
病院の機能・規模等にかかわらず、本事業で検討した質管理に重要な指標を計測し、医療の質のさらなる向上を目指すオールジャパンの取組です。
目的
全国の病院を対象に、代表的な医療の質指標(医療安全、感染管理、ケア)を計測・可視化することで、経時的な変化や他施設との比較を通じて医療の質向上を目指します。
対象
医療の質指標を用いた取組に関心のあるすべての病院
計測する指標と意義
1.転倒・転落発生率
入院患者に発生した転倒・転落件数/入院患者延べ件数(‰)
2.転倒・転落(3b 以上)発生率
入院患者に発生したレベル3b 以上の転倒・転落件数/入院患者延べ件数(‰)
発生件数を追跡するとともに、それらの事例を分析することで、より転倒・転落発生要因を特定しやすくなります。こうした事例分析から導かれた予防策を実施して転倒・転落発生リスクを低減していく取り組みが、転倒による傷害予防につながります。
3.肺血栓塞栓症の予防対策実施率(リスクレベル「中」以上)
分母のうち、肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数/リスクレベルが「中」以上の手術を施行した退院患者数(%)
周術期の肺血栓塞栓症の予防行為の実施は、発生率を下げることにつながります。
4.血培2セット実施率
血液培養オーダが1日に2件以上ある日数/血液培養オーダ日数(%)
血液培養は1セットのみの場合の偽陽性による過剰治療を防ぐため、2セット以上行うことが推奨されています。
5.広域抗菌薬使用時の細菌培養実施率
分母のうち入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数/広域スペクトルの抗菌薬が処方された退院患者数(%)
抗菌薬適正使用の鍵を握るのは正確な微生物学的診断であり、抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です。
6.予防的抗菌薬投与率
分母のうち、手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数/手術室で行った手術件数(%)
開胸、開腹を伴う手術等は、手術開始直前に抗菌薬を点滴などで投与することにより、手術後の感染を抑えることが期待されています。
7.褥瘡発生率(d2 以上)
d2(真皮までの損傷)以上の院内新規褥瘡発生患者数/入院患者延べ数(%)
褥瘡は、看護ケアの質評価の重要な指標の1つとなっています。褥瘡は患者の QOL の低下をきたすとともに、感染を引き起こすなど治癒が長期に及ぶことによって、結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります。
8.入院早期の栄養ケア実施割合(65 歳以上)
分母のうち、入院3 日目までに栄養ケアアセスメントが行われたことがカルテに記載された患者数/65 歳以上の退院患者数(%)
早期に低栄養リスクを評価し適切な介入をすることで、在院日数の短縮、予後改善につながります。
9.身体拘束率
分母のうち、物理的身体拘束を実施した患者延べ数/入院患者延べ数(%)
身体的拘束は、制限の程度が強く、また、二次的な身体的障害を生ぜしめる可能性もあるため、代替方法が見出されるまでの間のやむを得ない処置として行われる行動の制限であり、できる限り早期に他の方法に切り替えるよう努めなければならないものとされています。
メリット
・医療安全、感染管理、ケアに関連した代表的な指標を可視化できる
・自院における経時的変化および他施設比較をとおして、自院の現状を客観的に把握できる