リハビリテーション部

部門の紹介

主な活動

当院のリハビリテーション部には大きく分けて①理学療法部門②作業療法・脳卒中部門③手の外科部門④言語聴覚部門⑤心臓リハビリテーション部門の5つの部門があり、入院中の患者さんに対してリハビリテーションを実施しています。疾患により生じた動作・コミュニケーションなどの障害に対して、失われた機能の回復をうながすとともに、残存能力を最大限に引きのばすための治療を行い、家庭復帰や社会復帰ができるように支援しています。

技師長 松岡 昭仁

患者さんへのメッセージ

当院のリハビリテーションの歴史は長く40年以上の歴史があります。当院の強みは「超早期からリハビリテーションが介入する」というところだと思います。外科系疾患の患者さんなら術後の早い段階から、脳卒中などの患者さんなら診断を受けて治療が済んだ翌日と言わず、その日から取り組むことで予後の改善につなげるということをしています。患者さんの中には「入院したばかりなのに」「術後間もなくて医療機器が繋がっているままなのに」と驚かれる方もおりますが、急性期治療を行っている間は当院で責任を持ってリハビリテーションを行い、急性期の中では状態のいい形で後方支援病院へバトンタッチしていくことが私達の役割です。療養期の病院に移ってからリハビリテーションをどんなに一生懸命やったとしても、急性期の段階で充実したリハビリが受けられているかいないかでは、その後の回復に大きな違いが生まれてきます。単なる機能回復だけではなく、「患者さんが自分らしく生きる」ためのステップになると本気で考え、これからも患者さんのチカラになっていきたいと願っております。

チカラを合せてチーム医療

当院は「リハビリテーション」という言葉がない時から現在のリハビリテーション部の前身にあたる「物理療法室」をスタートさせている歴史ある病院です。さらに作業療法士、理学療法士がどちらも揃っていた病院は愛知県で当院が第一号です。病気やけがを治すだけでなく、治療した後も日常生活の質が高く維持できるように、さらには社会復帰ができるようにという視点を持ち、機能の回復や残存能力を最大限引き出すため多職種スタッフが活躍してまいりました。もちろんその活動の中には治療をコントロールする医師や治療のサポートを行う看護師も含まれており、多職種でチカラを合せる伝統が根付いています。

医療関係者へのメッセージ

当院のリハビリテーション部には大きく分けて5つの部門があります。理学療法部門は整形外科に併設された部門として昭和46年にスタートし、かれこれ40年以上の歴史を持っている愛知県内でもかなりの老舗です。

昭和51年に手の外科部門が始まり、当院が得意とする領域に成長してまいりました。当院は全国に先駆けて日本ハンドセラピィ学会から公認の施設になっており、現在(平成26年現在)でも全国で4施設しかないうちの一つとして専門のスタッフが高度なリハビリテーションを行っています。

平成16年には言語聴覚部門を立ちあげ、特に嚥下するチカラが低下してきたご年配の患者さんが安心して食事できるようなトレーニングをしています。

平成17年には心臓リハビリテーション部門がスタートし、主に虚血性心疾患・心不全などの患者さんに適度な運動をしてもらうことで回復を促したり、再発防止をしたりしています。また術後の患者さんに対しても早期に社会復帰ができるよう気持ちを込めながら支援を行っています。

平成23年前には作業療法・脳卒中部門ができADL(日常生活動作)の早期回復や廃用症候群(長期の安静により筋肉が委縮し身体の機能低下すること)の予防に努めています。

当院は入院患者さんのリハビリテーションを専門に行っており、患者さんが「自分らしく生きるチカラ」を引き出せるように、全力で支援しております。

理学療法部門

当院は第三次救急医療に対応した急性期リハビリテーションを中心に行っている総合リハビリテーション施設です。

理学療法部門では次の疾患について支援しています。
①整形外科疾患(骨折・関節疾患・脊椎脊髄疾患など)では、術前より早期に理学療法を開始し廃用予防に努めます。
②脳血管疾患(脳出血・脳梗塞・神経難病など)では、刺激により意識の回復や麻痺が生じた手足の機能回復を目指し理学療法を行います。
③呼吸器疾患(肺炎・慢性閉塞性肺疾患など)では、呼吸法や痰喀出方法の指導をします。
④外科の手術後、早期から動くことで日常生活動作を獲得し二次的合併症の予防に努めています。
⑤その他にも熱傷、循環器疾患、小児疾患等のあらゆる疾患を対象として支援しています。

理学療法は寝がえり、起き上がりから立位・歩行等の基本的な動作の回復を目指し運動療法を行います。また、麻痺や筋力低下、関節の制限に対し、筋力や関節の動きや身体能力を向上させます。痛みに対しては温熱療法等により運動療法を行いやすくします。

当院は在宅や転院に向けて早期から理学療法を行うことで機能回復の手助けや、社会復帰に向けて患者さんのニーズに合わせた理学療法を行っています。

心臓リハビリ室

少し前まで心臓の病気の場合は安静が第一とされてきました。しかし、最近では適度な運動は病気の回復を促し、再発予防効果があることもわかってきました。

もちろん、運動は危険を伴うこともありますので医療スタッフの指示に従って運動することが大切です。

心臓リハビリは、心臓の機能回復を目的としたリハビリで、医師や看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士がチームを組んでいます。多職種が関わり、運動療法だけでなく、再発予防のための食事指導や生活指導、禁煙指導、服薬指導、心理的サポート等を行うのが包括的心臓リハビリです。

下記の項目がリハビリの柱です。
① 運動に対する適応力がどの程度のレベルにあるかを検査いたします。
② 適切な運動処方により運動能力を高めるトレーニングをしていただきます。
③ 病気の原因である危険因子を認識し、再発予防をします。
④ 社会復帰に対する不安を解消していただき、今後、自主的に運動を続けていただくための指導を「心臓リハビリテーション指導士」といった専門職がいたします。

作業療法 脳卒中部門

作業療法の脳卒中部門は平成23年4月より始まりました。対象疾患は、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)を主体に、脳腫瘍、くも膜下出血、脊髄損傷、パーキンソン病、頚椎症、神経筋疾患、ALSなどの重症難病の疾患を対象にしております。

当部門では下記を目標に急性期から亜急性の作業療法を行っています。
①心身の機能改善
②早期離床
③ADLの早期拡大
④合併症予防
⑤廃用症候群の予防

当部門の特徴の一つとして脳卒中により運動麻痺を起した患者さんに対して、急性期からIVES+を使用しリハビリテーションを行っております。当部門への依頼件数は年々増加傾向で、神経内科、脳外科からのリハビリ依頼が主体ですが、循環器科、救急科、外科からも依頼をいただくこともあります。今後は中枢性の疾患のみではなく、他分野への進出を考えており多種多様な疾患に対応し、多くの患者さんに貢献できるよう努力していきます。

また最新リハビリ機器の購入も積極的に検討しハードを充実させるほか、常に新しい知識の獲得のため学会・研修会へ意欲的に参加しています。さらに学生の臨床実習の受け入れにも積極的に対応し後進の育成にも力を入れております。

手の外科部門

手外科部門の作業療法では、上肢(肩関節から手指まで)のケガに対するリハビリテーション(ハンドセラピィ)を行っています。

ハンドセラピィは整形外科リハビリテーションの中でも特に専門性の高い領域であるため、当科では専従のハンドセラピストが在籍し、骨折、脱臼、神経・腱・血管のケガなどを対象に、装具療法を含めた専門的な機能回復訓練を行っています。また、患者さんは手術直後から退院後も外来でハンドセラピィを行うことが可能であり、ケガをしてから社会復帰まで一貫した治療を当科では提供しています。専門手外科医をはじめとする経験豊富な医師による手術にプラスして適確なハンドセラピィを施すなど、医師とハンドセラピストが連携を密に取りながら治療を行うことで、患者さんの早期社会復帰と良好な治療成績を得ています。

なお、当院は日本ハンドセラピィ学会公認の認定臨床研修施設Bとなっています。

言語聴覚部門

私たちST(言語聴覚士)部門は、①食べること ②言葉に関すること ③認知機能(記憶や計算など)に問題を抱える方々に対し、医師・看護師・管理栄養士・他のリハビリ療法士と協力し、専門的な評価・リハビリテーション・支援・相談を行っています。

    
食べたり話したりすることは、どれも日常生活で必要不可欠な機能であり、それを失うことは大変つらい事です。私たちSTはそれらの問題に寄り添い、患者さんが元の生活に不安なく戻るための「チカラ」になれるよう日々努力しています。

飲み込みの力が弱くなった方々へは、X線を使った検査(嚥下造影検査)を行って詳しい嚥下状態を調べ、うまく飲めるように機能訓練を行ったり安全に飲める食事形態や食べ方について検討したりします。また栄養サポートチーム(NST)とともに患者さんの栄養状態や栄養手段についても検討しています。

言葉の障害には主に次のような症状があります。
①言葉が思い出せない、相手の言葉が理解できないといった失語症
②発音がうまくできないといった構音障害
各種専門検査道具、訓練用具を用い、患者さんに合った訓練を提供しコミュニケーションができる喜びを共有します。

認知機能障害は交通外傷後の脳機能障害や、認知症など多岐にわたりますが、その方々の抱える問題を一緒に解決しています。

義肢装具部門

  • 主として整形外科疾患に対し、義肢装具の採型・デザイン・製作を担っています
  • 適合などの業務を担当する専門職として義肢装具士が1名常勤しています

療法士数(令和5年8月現在)

PT(理学療法士)   23名 4名 心臓リハビリ室
19名 整形外科、脳神経内科、脳神経外科、外科、呼吸器内科、循環器内科、心臓血管外科、消化器内科、血液内科、小児科、その他の科、集中治療室、救命救急室、緩和ケア病棟
OT(作業療法士)   14名 5名 手外科
9名 脳卒中
ST(言語聴覚士) 8名    
PO(義肢装具士) 1名   ギプス室
合計 46名