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New Post|2024.04.16

学びになるコラム

「断らない救急」という強みを誇りに、できることを考え続ける

学びになるコラム

「断らない救急」という強みを誇りに、できることを考え続ける

当院は、地域の救急医療を担い、24時間365日「救急患者を断らない」環境に挑み続けています。今回、WEBサイトのリニューアルに伴い、河野弘院長へインタビューを行いました。

今回のWEBサイトリニューアルのきっかけや、思いをお聞かせください

昨今、紙媒体がWEBになったり、WEBの広告が増えたりと、情報発信の時代になりました。患者様も、わかりやすくタイムリーな情報を求めていらっしゃるので、WEBサイトがいかに重要なものであるのかがわかります。これまでは手探りの状態のなか、院内で対応してきたのですが、いろんな方にとってより見やすいWEBサイトにする必要があると思い、本格的なリニューアルに踏み切りました。まずは、視覚的にわかりやすいサイトにすることを大切にし、この病院を受診しようと思っていただけるようなデザインを目指しました。特に若い世代の方はWEBに慣れていらっしゃるので、他の病院様と比較したときにも魅力が伝わるような見せ方にこだわっています。

今、力を入れている取り組みはありますか

当院には、「高度医療」と「救急医療」の2つの柱があります。高度医療では、特にがん治療に力を入れており、4年前からロボット支援手術を導入しました。現在、泌尿器科・外科・産婦人科の3つの診療科で活用しており、精度の高い手術ができるようになっています。 救急医療では、2年ほど前にハイブリッドERシステムを導入しました。通常、救急搬送患者が最初に運ばれる初療室ではCT室と血管撮影室が分かれていて、患者様を移動させる必要があるのですが、重症の患者様にとってはベッド移動の際の振動や、部屋移動にかかる時間が大きな負担となることもあります。ハイブリッドERは、CTと血管撮影装置を組み合わせた装置を設置し、診断と治療を同時並行で行うシステムで、移動をすることなく同じベッドで診察、CT撮影、ダメージコントロール手術、カテーテル治療を受けることができます。より高いレベルの救急医療が可能となりました。このあたりの地域だと当院のみが導入しているため、当院の強みにもなっていると思います。

クラウドファンディングでドクターカー(自家用救急車)も導入しましたが、どんな役割を期待していますか

ドクターカー導入のきっかけは、やはりコロナ禍です。重症者が助からないという事態もたくさん見てきて、迅速な救急医療を提供するために何ができるのかを改めて考えるきっかけとなりました。ドクターカーがあればより多くの人を救命できるのではないかという声が現場からも上がってきまして、特殊車両であることや、装備品を入れると高額であることからクラウドファンディングの実施に至りました。現在製作中で、2023年5月頃導入予定です。通常、名古屋市消防局の指令を受けて救急車が出動するのですが、消防署から現場、現場から病院と2つのルートを経由することになるため、病院到着前に心停止となってしまったり、重症化して手遅れとなってしまったりする患者様もいらっしゃいます。ドクターカーは医師や看護師を乗せて直接現場に行くことができ、生体モニターや自動心臓マッサージ装置、超音波装置などの機械を搭載しているため、その場で治療を開始することが可能です。つまり、より早く救急対応ができるというわけです。皆さまからの温かいご支援をいただいて実現することができました。本当に感謝しております。

スタッフの働く環境についてはいかがでしょうか

当院の特徴は昔からトップダウンではなくボトムアップの考え方が浸透していることです。現場から出てきた声を尊重するという文化なので、スタッフの働きやすさにもつながっているのではないでしょうか。多職種同士の垣根も低いので、スタッフ同士の助け合いもしやすいです。

施設環境でいうと、6年前にできた入院棟は、患者様はもちろん、スタッフの満足度も高いです。欠かさずにメンテナンスをしているので綺麗ですし、スタッフステーションは広く、休憩室、仮眠室と別にしているので、オンとオフの切り替えができるのがいいという声も聞いています。「満足度の高い環境づくり」は今後も意識していきたいです。

今後の目標や展望についてお聞かせください

現在の外来棟の老朽化に伴って、新外来棟を建設することを決定しました。2030年までに新しい外来棟を完成させるというのが今の目標です。2022年に新病棟建設構想チームが立ち上がり、早速スタートを切りました。現在外来患者用駐車場として使っている敷地に建設する予定です。ここに新しい外来棟を建てることで現在求められている医療ニーズに応えることができ、さらに入院棟との距離が近づき、動線もよくなると考えます。緩和ケア病棟や救命救急センターも入院棟に近づけるべきかどうかというのも、今後検討していく予定です。

当院は「断らない救急」が最大の強みです。昨今はコロナ対応に追われて、入院や救急、外来を制限して通常の医療に支障がでている病院もあると思います。当院ではコロナが始まって以来、感染防止対策をしながらコロナ対応も通常医療も両立させるという方針でやってきました。今後も地域の基幹病院として、高度医療や救急医療を継続し、地域の皆様に信頼される病院を目指していきます。

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